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Sir Kay~Brother Of King~外伝 <4>・後編1

オリジナル小説を始めて早2年。
週一から月一更新になりながらも何とか月一更新だけは守り続けてきた管理人でしたが……。

ついに敗北しました。
今月分を半分しか終わらせることができませんでした。


最大の原因は、ここ連日の茹だるような暑さ。
夜になっても全然涼しくならないために書こうと思っても長時間パソコンの前にいることができません。
前の日記でも書いたように私の部屋にはクーラーがないのです。扇風機はあるけど、室内が狭い上に壁ばっかりで、くる風は熱風のみという環境。こうして今書いているだけでも溶けてしまいそうです……。
というわけで、今回の後編は2回に分けさせていただきます。読んでくださっている方がいるかどうか分からないような作品ですが、万が一いてくださっている方のためにもお詫びを申し上げます。
続きもまたギリギリになると思いますが、頑張って書き上げます。

それでは短いですが後編その1です。



   外伝「ルグス遠征」<4>・後編1



 ベディヴィアの案内でケイとディナダンはアーサーとの落ち合い場所へとやって来た。
 そこは高い岩壁に囲まれている以外は何もない、要は行き止まりだった。
「行き止まりですね。ここが落ち合う場所なのですか?」
「そうだ。ここに陛下も来る筈だ」
 ディナダンが聞くとベディヴィアは背を向けたまま応える。その姿にケイは違和感を覚えた。何か変だ、と。
 先程はアーサーとはぐれたと聞き、つい焦って彼についてきてしまった。しかし考えてみれば明らかにおかしい。ベディヴィアの言葉も態度も長年の付き合いである自分でも感じたことのないものばかりだ。何より、アーサーと落ち合う約束をしているならば、自分達へ報告しに行くよりも真っ先にここへ向かうべきではないか。自分の知っているベディヴィアなら、そうするはず。
 そこまで考えてケイは自分の浅はかな行動を後悔したが、今は早く目の前のベディヴィアとなっている存在の正体を暴く方が先だ。悔やむのはその後でいい。
 気配を殺して近付こうとしたそのとき、後ろから何かがに服を掴まれる。何事かと顔だけ向けてみれば、ディナダンがいつの間にか背後まで来ていて、ケイの服を掴んだまま小声でこう言ってきた。
「ケイ卿……。あのベディヴィア卿は何か様子がおかしくありませんか?」
「なに?」
「ベディヴィア卿は物事を簡潔に伝える方でしょう? ですが、あの彼は妙に遠回しな物言いをなさっている」
 ケイは驚きに目を開く。出会って間もないというのにこの男はそのようなことが分かったというのか。そういえばあの道化姿は情報収集のための変装だと言っていた。周囲を見る目には優れているということか。
 更にディナダンは言った。
「少し彼の気を引いていただけませんか? 彼の正体を暴いてみせます」
「……そんなことが出来るのか?」
「ケイ卿が僕を信じてくれるならば」
 微笑むディナダンにケイは考えあぐねる。自分は彼のような洞察力は持ち合わせていない。だから信頼し切れていない彼の言葉を信じることは難しいが、他に良い方法も思い浮かばないのも事実だった。
 前には仲間を装う者。後ろには思考の読めない騎士。実に選びにくい選択肢だが、ケイは決断するしかなかった。
 ひと睨みするとディナダンは勘付いたのか、応えるように頷き、服から手が離される。ケイは一息吐いて前の男の元へ足を動かした。
「どうした、ケイ」
 こちらの気配に気付いた男が振り返る。
 突然真正面に見据えられ、ケイは少し怯んでしまったが、気持ちを引き締めて口を開いた。
「なあ、ベディヴィア。陛下はもちろん心配だが、お前としては兄貴のことも心配だろう? お前らいつも一緒だからな」
 ごくりと唾を飲み込む。果たして今の言葉に男はどのような反応を示すのか。
 男はしばらくこちらを見つめてから、そして答えた。
「そうだな。いつも隣にいる存在がいないというのは寂しいものだ」
 笑みと共に返された決定な言葉にケイは思わず後退る。
 予想は当たっていた。やはり彼はベディヴィアではない。目の前にいるのは、自分の仲間の姿を装った得体の知れないなのだ。
 合図を送ろうと後ろを振り返ろうとした瞬間、何かが横切るのが視界の隅に入った。それを確かめる間もなく、周囲はボンッという音と共に突如発生した煙に覆い尽くされる。恐らく横切った何かが破裂し、中から煙を発生させたのだろう。
 ケイはマントで煙を遮りながら前へと目をこらす。男がベディヴィアではないと分かった以上、一瞬の油断が危機を招くことになりかねない。しばらくそうしていると、次第に男の姿が輪郭だけでも確認出来るようになっていった。
 そこでケイは目を見開く。先程と明らかに体格が違う。大柄なベディヴィアと代わって立っているのは、真逆の細身の体型の人物だったのだ。
「あれが彼の真の姿ですね」
 ディナダンがケイの横に立つ。
 見てみれば、彼は手に赤い色の玉を持っていた。一見何の変哲もない、ジャグリングなどで使用されるボールだったが、その玉からは通常のボールにはない『力』を感じる。まさか横切ったあれは。
「お前、それ……」
「これですか? ジャグリングのボールです」
「そんなことは知ってんだよ! ただのボールじゃないだろう!?」
 飄々とした物言いに思わず声が上がる。そのような冗談を聞いている場合ではない。
 そんなこちらの様子に慌てることなく、ディナダンはいつもの笑みを浮かべて言った。
「ええ。このボールにはまやかしの魔法を破る力を宿しているんです」
 世界には魔法の力を宿した道具が存在しており、その道具さえ使えば魔法を使えない者でも一度だけ道具に宿った魔法を発揮することが出来る。そういった道具を生成しているのは『魔女』が管理する組織だという噂もあるが、真相は明らかになっていないが、便利なものであることから街の道具屋に赴けばほとんどが格安の値段で購入できるのだ。しかし、ディナダンが今持っているような道具は今まで見たことがなかった。
 そういえば『魔女』でなくても魔法に長けた者の中には己の力だけでオリジナルの魔法道具を生成出来ると聞いたことがあるのを思い出す。つまり、彼はそれだけの魔力を持っているのだろうか。そうだとしても何故ジャグリングのボールなのだろう。
 ケイは疑問をそのまま口にした。
「何でそんな細工を……?」
「僕が道化の姿をとるのは間諜のためだとお話しましたよね。ですから、こういう魔法アイテムは護身用として持っているんですよ」
 にこやかに語るディナダンを見ながら、ケイの脳裏に(道化姿の)彼と始めて会ったときのことが浮かんだ。ショーと称して剣を腹に突き刺されるという、背筋の凍った体験。だが、剣は見事に腹を貫通しながらも自分は怪我ひとつ負うことはなかった。ひょっとしてあの剣も彼が生成した魔法道具だったのだろうか。一体このような魔法道具をどれだけ持っているのだろう。
 今度は疑問を口にする暇はなかった。
「……これはこれは。少々軽く見てしまっていたようですね」
 前方の細身の影が先にそう口を開いたからだ。
 ケイとディナダンは一斉に振り返る。それは声が聞こえたからだけではなかった。
 涼しげなのにどこか惑わされているように感じる声。
 その声の主を両者とも知っていたからである。
「……てめえ、まさか!?」
 覆い尽くしていた煙が徐々に薄れていき、周囲は元の岩山へと戻っていく。それと同意に声の主である細身の影は、とうとう姿を現した。
 浅黒い肌の端正な顔立ちの青年の姿を。
「改めて自己紹介いたしましょう。ルキウス皇帝の側近・アンブロシアに御座います。……尤も貴方がたには、『魔女』と名乗った方がよろしいでしょうが」
 胸に手を当てて会釈しながら、男は妖しく微笑んだ。

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[ 2008/07/26 21:44 ] オリジナル小説中編 | TB(0) | CM(0)
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Author:春菜
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2006年5月16日開設

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