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Sir Kay~Brother Of King~外伝 <3>・前編

またギリギリだったな。
しかし、今回はマジで間に合わないと思った。
間に合ったとしても前中後編になる恐れもあったし……。
でも何とかいつも通り前後編で終了できそうで良かったです。
まあ、それ以前にひとつの話を前編と後編で分けていること自体が問題なのですがね。
……ああ、溜め息吐きたくなる。

愚痴ばっか書いて申し訳ありません。
スルーして下さい(^-^;)。



   外伝「ルグス遠征」<3>・前編



 アーサー王率いるログレスの騎士達はスタルディ城を離れると、そこから数十キロ東の気高い丘にキャンプを張ることにした。
 全てのテントを張り終えた頃には日は沈みかけ、辺りを暗闇が包もうとしていた。慣れない異国の地であることから騎士達の表情には疲れが見えているが、万が一皇帝の刺客が襲撃してこないとも限らない。王と円卓の騎士の指揮の下、誰もが疲れなどものともせず、万全の体制に努めていた。
 完全に夜の帳が下りた頃。アーサーとケイ達円卓の騎士は中心のテントへ集い、今後の話し合いを行う。簡易テーブルの左にランスロットとガウェイン。右にケイとベディヴィアが。そして彼らの間にアーサーが座る。
「5日か……」
「短期間とはいえ、我が国に攻め込まれるまでまだ時間があるということは収穫でしたでしょう」
 アーサーが確認するかのように呟いた言葉にランスロットが最初に反応を示す。
 ルキウス皇帝と話し合いをしにここルグス帝国へとやって来たアーサー達であったが、皇帝はこちらの話に全く耳を貸そうとせず、ルグスに従わなければログレスへ攻め込むと脅しさえかけてきたのだ。その後、気分が優れないことで退出した皇帝の代行を勤めたのが、アンブロジウス。『魔女』と噂される男だ。
 結局話し合いは決裂し、ログレスはルグスの侵攻を阻止することは出来なかった。しかし、アンブロジウスの計らいか気まぐれか。ルグスがログレスへ侵攻するまで5日の猶予を与えられたことは、たったひとつの戦利品といえよう。
「下手に楯突いて怒りを買ってしまうかと思ったが、逆に良い結果を生むことになるとはな。怪我の功名といえようか」
 兄のルーカンがいないせいか。普段では考えられないほど饒舌なベディヴィアの言葉がケイとガウェインの胸に突き刺さる。
 そう。アンブロジウスが5日の猶予を与えるよう皇帝に話をつけると言ったきっかけはこの2人が皇帝や彼に対して怒りを向けたからだ。ガウェインは皇帝の理不尽さに。ケイはアンブロジウスのアーサーへの侮蔑の言葉に。
 結果的にそれがログレスの平和を僅かながら長引かせたものの、一歩間違えれば逆に戦いを早まらせていたことだろう。常に騎士道を重んじ、冷静さを失わないことを心掛ける騎士としては望ましい行動ではなかった。
「……悪かったな」
「……申し訳ない」
 謝罪の言葉が重なり、2人は思わずお互いに視線を投げる。
 ケイとしてはガウェインと同じ行動をとったこともそうだが、理由がアーサーへの侮蔑だったことにも些か後悔があった。
 自分は本来そのような正義感を表す人間ではない。今回はたまたま体が動いただけであり、常にあのようなことをするわけではないのだ。立場的なことも考えると、変に誤解をしてもらいたくはないのだが。
「気にすることはない。貴殿らは私をかばってくれたのだ。感謝している。ありがとう」
 爽やかな笑顔を向けて感謝の言葉を述べてくるアーサーにケイは苦笑いを浮かべる。
 ああ、こいつはきっと勘違いするだろうと思っていた。純粋な男だから。
「いえ! 陛下にお仕えする騎士として当然のことをしたまでで御座います!」
 そして、ここにもうひとり純粋な男がいた。
 両手で拳を握り、夜だというのに声を張り上げるガウェイン。喜びだろうが怒りだろうが、とにかくあらゆる感情を体全体で表現するのがこの男の特徴だ。周囲の者からするとそこが魅力らしいが、ケイには騒がしいだけにしか思えない。
 このままでは彼お得意の熱い展開に持って行かれそうなので、話を先に進めることにする。
「何にせよ、あのアンブロジウスという男が魔女であることは確かだと思われます。皇帝のあの様子は正常とはいえません」
 ケイの言葉に他の者の表情に緊張が走った。
 何とかしてあと5日でルグスとの戦を阻止しなければならない。そのために一番厄介なのが、アンブロジウスの存在である。生きた屍にしか見えなかった皇帝の様子から察するに、彼が魔女であることはほぼ決定的といえた。
「ならば、やはり皇帝は魔女に操られているという話は真となるな……」
「もうひとつの文書の騎士達は信用出来るということか」
 ケイに同意するようにランスロットとガウェインがそれぞれ意見を述べる。
 アンブロジウスが魔女であることをケイ達が知ったのは、皇帝がルグスよりの同盟を再び結べという文書が使者によって届けられたときである。使者はアーサーに隠れてもうひとつの文書を渡した。そこに記されていたのが、アンブロジウスが魔女であり、皇帝を操っていること。皇帝を魔女の手から救うために協力して欲しいという、忠義溢れる騎士達の願いだった。
 アンブロジウスが魔女であり、皇帝が操られているのもほぼ事実。ならばもうひとつの文書を送った騎士達は信用できるというガウェインの言葉には頷けるかもしれない。だが……。
「まだ結論は出せないだろう。皇帝の様子を見せることで俺達を信用させて逆に窮地に陥らせようとしている可能性だって充分ある」
 否定するこちらに発言にランスロットとガウェインが意気消沈するのが見えたが、ケイは無視をする。その可能性が完全になくなったわけではないのも事実だからだ。
「だが、慣れぬ地で我々だけが動いても良い解決策が見つかるとは考えにくい。このままではログレスとルグスの戦は避けられぬものとなってしまう」
 ベディヴィアの反論に視線が一斉に集まる。ランスロットとガウェインは普段口をほとんど開かない男が先程から随分と饒舌であることに驚いてもいるのだろう。尤もこの男の無口な印象はあくまで周囲の印象であり、長年の付き合いであるケイやアーサーは兄のルーカンがいないときはこのようにずけずけものを言うことを知っているが。
 ベディヴィアの言い分も確かだ。自国ならまだしもここは勝手の分からぬ他国。いくら勇猛果敢な騎士が揃っていても策を講じるのは難しい。ましてや敵は国を治める皇帝と、彼に従う幾千の騎士。更にその裏には魔女もいるときた。その全てに勝利するには戦力も時間も足りない。悔しいが、それが現実だ。
 ふとケイは思い出したくないが、ルーカンの顔が頭に浮かんだ。あの男が来ていたなら、もっと状況は変わっていただろうか。あの男なら交渉事も得意だし、ルグスの土地勘もある。それを他にやることがあるといってログレスに残ったのだ。
 しかもあいつは今回の交渉が決裂することを予測していた。それだけではない。皇帝を魔女から救い出すことで同盟の件も白紙に戻すというシナリオさえ立てていたのだ。ならば尚更行くべきだと自分が代わりに残ろうとすると「君はアーサーの傍にいるべきだ」と言い切り、首を縦に振ることはなかった。
 だが、自分の力が今ここで何の役に立つというのだろうか。こうして話し合い、皇帝は魔女に操られているだろうが、かといって文書の騎士の言うことも完全には信用出来ない。そうは思っていても他にこれといった解決策も思い付かない。5日の猶予をもらえたのが自分の行動が原因のひとつではあるものの、それはあくまでも結果論。一歩間違えば、そこで全てが終わっていたかもしれないのだ。そんな自分が見知らぬ地で何が出来るというのか。
(やっぱり俺ではなくあいつが来るべきだったんだ。それを……)
 考えていたら悪態ばかりがついてしまうので、ルーカンの存在を頭から消す。そんなことをしている場合ではない。解決策が見つからなくてもこの先どうするかは決定しなければならないのだから。
 ケイ達はアーサーへと視線を移した。皆このまま意見を言い合っても埒があかないと踏んだのだろう。最早主であるアーサーの言葉を仰ぐしかない。
 アーサーはこちらの視線に全て目を向け、少し考え後に言った。
「私は今ならこの文書を信じても良い。そう言い切れると思っている。だが、あくまで私個人の意見だ。他に異存があれば言って欲しい」
 それがアーサーの出した答えだった。だが、決して自分に従わせようとせず、こちらの意見も求めるところはアーサーらしさといえよう。
「陛下がおっしゃるのならば、それが確かでしょう。我々は陛下について行く所存です」
 皆の返答を代弁したのは、ランスロットだ。ガウェインも同意するように大きく頷く。ケイとベディヴィアも同じ気持ちだった。
 全員の想いを汲んだアーサーは安堵の笑みを浮かべる。
「では、私はこの文書に書いてある場所へ赴くとする。この文書を書いた騎士と接触しなければならない」
 突然の宣言に皆は驚きを隠せない。騎士に接触することは決定したとはいえ、その役目を王自ら担うなどいくら何でも無謀だ。
「お待ち下さい! 陛下がお一人で行かれるなど危険です。我々も共に……!」
 ガウェインが止めるも、アーサーは首を横に振った。
「それは駄目だ。文書にはログレスの騎士が一人で来るようにと書されている。もし破れば、彼らはこちらを信用しないだろう。信頼を得るにはまずこちらが誠意を示すべきだ」
 ケイも一度文書に目を通したが、確かにそう記されていたのは覚えている。協力を求めているものの、やはりあちらも他国の者を簡単には信用出来ないのだろう。当然のことだが、だからといってこちらも王を危険の可能性があるところに飛び込ませるわけにはいかないのだ。それにあくまで条件は『ログレスの騎士が一人で来るように』ということ。アーサーでなく、他の騎士でも構わない筈だ。
「陛下が行かれることには私も反対です。ここは異国の地。何が起こるか分かりません。陛下の代わりとして私が参ります」
「いや、ならば俺が行こう。危険な事態は俺が一番慣れている」
 ランスロットとガウェインがそれぞれ名乗り出る。ケイもその方が良いと判断していた。万が一これが罠だったとしても、この2人のどちらかなら充分対処出来るだろう……と思っていたら。
「陛下」
 そこに割って入るように口を開いたのは何とベディヴィアだった。まさか立候補するつもりなのかとケイは意外に思ったが、彼が口にしたのは更に意外な言葉だったのである。
「最初にルグスの騎士と接触するのは、ケイが適任であると私は推奨します」
「は!?」
 己の名が出てきたことに思わず声を上げてしまうケイ。
 この男は今何と言った? 予想外のことに頭が混乱してしまう。目を見開いて男を凝視するも、当の本人はいつもの無表情でアーサーの方を向いたままだ。
 視線だけ動かせばランスロットとガウェインも信じられないといった表情をしているのが目に入ってくる。
「ベディヴィア……。何故ケイが相応しいと思うのだ?」
「理由はない」
 ガウェインの問いにベディヴィアは迷いなく言い切る。
「勘だ」
 最早驚きさえも通り越していた。あまりのことにアーサー以外は返す言葉も見つからない。だが、ケイの感情は次第に怒りへと変化していっていた。
 ログレスの運命を左右するであろう、ルグスの騎士との接触には自分が適任だと突然発言したかと思えば、それが勘だと。馬鹿にしているにもほどがある。
 睨み付け、怒鳴りたくなる気持ちを抑えながら怒りをぶつけようと口を開いたが。
「ベディヴィア卿……。その勘に自信はあるのか?」
 アーサーの言葉に遮られてしまい、タイミングを逃してしまう。
 出かかった言葉をぐっと呑み込み、今度はアーサーに視線を向ける。アーサーはガウェインの予想外の意見に対して驚きもせず、ただ真剣な表情をしたままだ。
「我が一族の名にかけて」
 アーサーの問いにベディヴィアは静かに一言そう答え、頭を下げる。
 その姿を見つめていたアーサーは、しばし考えた後、言った。
「……分かった。ルグスの騎士との接触はケイ卿に任せよう」
「お、おい!」
 アーサーに投げた言葉は主従のものでなく、正しく兄弟のそれ。当人の気持ちを無視して話が勝手に進んでいき、ケイは公務の最中であることも忘れてしまった。
 他の誰でもなく、自分が最初にルグスの騎士と接触し、真意を確かめるなど出来よう筈もないではないか。声を出すことさえ出来なくなっているランスロットとガウェインも同じ考えだろう。
 それもそうだ。
 ケイの性格が交渉に一番合わないことは、この場の誰もが知っている。
 本人でさえもそう思っているのだから。
 ログレスの者であれば、ある程度こちらの性格を把握している。だが、ここはルグス。他国なのだ。どう考えても悪印象しか与えない。それはアーサーもベディヴィアも分かっている筈なのに。だのに何故このような大事を自分に任せられるのだろうか。ケイには2人の考えが全く理解出来なかった。
 無理だ、出来ない。そう反論しようとも思ったが、アーサーの目の真剣さにそれこそ無理だと長年の経験から覚った。あの目をしているときの弟は、周囲がいくら言おうと決して考えを曲げないことを兄の自分がよく分かっていたからだ。
 ベディヴィアを睨み付けるも、こちらの視線に気付いている筈なのに本人は意にも介さない。
 普段は兄のルーカンが代弁をしてくれるため、ほとんど喋らないのにいざ口を開けば理解不能なことを言い出す。そんなところが嫌になるくらいルーカンとそっくりだ。
 兄は遠回しに、弟は歯に衣着せぬ物言いをする。
 しかし、己の思惑は決して周囲には覚らせないところは全く同じ。
 それは、長年の付き合いである自分でさえも分からない。
 やはり、自分はこの兄弟の手の上で踊らされているのではないか。
 正直こちらの被害妄想とは思えなかった。

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[ 2008/04/26 22:51 ] オリジナル小説中編 | TB(0) | CM(0)
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Author:春菜
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2006年5月16日開設

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