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Sir Kay~Brother Of King~外伝 <1>・後編

前編更新の時、できるだけ早くアップしますと言いながら結局時間がかかってしまいました。「DBサイトを作るから……」などと言い訳はしません(-_-;)。
多分、今後も前編後編分けて更新することになると思います。時間がないのもあるけど上手く文章が書けなくなっている気がして。スランプ? ……て、スランプになるほど文章書いてないよ。
それでも月1更新は守っていきたいなあ。



   外伝「ルグス遠征」<1>・後編



 退室しようとしていたランスロット達を呼び止め、出口とは反対にある奥の扉を抜ける。細く長い廊下をしばらく歩くと
 そこが『円卓の間』である。
 アーサーが正式にログレスへと即位した日。同時に彼をケイの父・エクターに預け、その後も陰で導き続けた稀代の魔導士・マーリンが自分達の前に姿を現す最後となった日、その老人がアーサーに贈ったのが『円卓』という古代の円テーブルだった。
 神話でさえ語り継がれていない神のひとつ、『ダーナ神族』。そのダーナ神族の神器とされるのが『円卓』である。そこには選ばれた者の名が刻まれ、その者が死ねば消えてしまうという。現にアーサーとここにいる六人の名が刻まれていた。
 この『円卓』の啓示により、アーサーとケイ達は『円卓の騎士』と名乗ることになったのである。
 更にマーリンはもうひとつの神器『聖杯』を探し出せ、と言った。それがあればログレスの平和は永遠のものになる、と。今のところ、その『聖杯』については調べてはいるもののこれといった情報は見つかっていない状況である。尤も神器といわれる代物なのだ。そう簡単に見つかるのも問題だが。
 また最後にアーサーへ衝撃の贈り物を残していったが、ケイにとっては思い出すだけでも気分の悪くなる出来事だ。そもそもあの老人の事自体頭に浮かべたくない。
 ケイは意識を扉へ戻した。重く頑丈なそれを両手で開き、中に入る。各々自分の席へと立ち、アーサーを待つ。
 数分後。再び扉が開き、アーサーが入室してきた。
「皆、よく集まってくれた」
 自身の席に立ったアーサーが静かに声をかけてくる。それに応えるかのようにガウェインが口を開く。
「それで陛下、お話というのは……?」
「その前にまずこれを見て欲しい」
 アーサーが円卓の上に一枚の紙を置いたと同時に皆の視線が一斉に集中する。紙自体は何の変哲のない、どこにでもある代物だ。皆の視線が集まったのは、上に描かれている紋章である。
 それは、確かにルグスの紋章だったのだ。
「これは?」
 視線をアーサーへ移し、ケイが問いかける。
「ルグスの騎士達が持ってきた、もうひとつの文書だ」
「もうひとつの文書?」
 ケイの問いにアーサーが頷く。
「ルキウス皇帝の文書を手渡されたとき、誰にも分からないよう、もうひとつ文書を渡された。それがこれだ」
 文書の入手経路を理解したケイ達であったが、何故ルグスの騎士達がそのようなことをしなければならないのか、皆目検討もつかない。
 疑問ばかりが誰もの頭を支配する中、ルーカンが文書を手に取り、ゆっくりと拝読し始める。
 その内容にアーサー以外の全員が驚きを隠せなかった。

 ルグス帝国の皇帝・ルキウスは全ての騎士から尊敬される公明正大な人物であった。しかし、ちょうどログレスに飢饉が訪れるほんの少し前、民情視察の帰り道でひとりの傷を負った男を拾ったことから全てが狂い始めた。何とその男は類い希なる力を持った人間。『魔女』であるというのだ。
 男はある出来事を切っ掛けに皇帝の信頼を得て、側近として仕えるようになった。だが、男が仕えるようになってから皇帝は次第に横暴な人物へと変貌していき、忠告をしてくる騎士を有無も言わさず斬り殺すなどと、その行動も狂気に満ちるほどになっていった。ログレスに飢饉が訪れたとき、弱いところにつけ込んでルグス寄りの同盟を結ばせたのも、ログレスが他国からの侵略者達に荒れされても無視し続けていたのもそのことが原因だという。
 最近では話をするのも男とだけになり、体も衰弱していくかのように痩せていっている。しかも皇帝は自分が死んだ後を男に継がせると宣言したのだ。このままでは近く皇帝は死に、国は魔女に乗っ取られてしまう。どうかログレスを救った英雄たるアーサー王に力を貸して欲しい。
 ルグスのため。そして、皇帝陛下のために。

 ルーカンが文書を読み上げた後、しばらく沈黙が流れた。
 ぎこちなく、ケイがそれを破る。
「これは……真の話なのですか? 正直、私は出来すぎているのではないかと思いますが」
「だが、ルキウス皇帝には魔女が一人仕えているという話は聞いたことがある。全て偽りと考えるのは早計だろう」
 ルーカンは半年ほど前、外交のためにルグスへ訪れたことがある。あいにく皇帝は病床にいた時であり、彼の傍についていた魔女にも会えず終いだったらしいが。その辺りの話はケイも聞いていた。
「皇帝に寵愛を受けている魔女を、ルグスの騎士に断罪することは出来ない。だから、我々に助力を求めてきたということか」
 ランスロットは神妙な面持ちだが、文書の内容に偽りがないと感じているようだ。
 確かにここ二十数年の皇帝の横暴さは尋常ではない。そこに魔女という未知の黒幕がいたとすれば、ある程度納得がいく。
 だが、それでもケイには信じられない。否、簡単に信じてはいけないと思った。
「それこそ策の可能性だってあるだろう。第一、自分の国の揉め事を他で解決してもらおうなんて虫が良すぎる」
 この世界は国と国が大いなるパス(小径)という海でしか繋がっていない。故に国同士の交流はあまり持たないのがほとんどだ。かつてのログレスとルグスのように同盟を結ぶことは稀である。
 更にログレスは豊富な自然と大地を持つために多くの国から狙われ続けてきた。先の侵略者達との戦いもそうである。ルグスにもログレスほどではないが自然を持つものの、助けを求めるふりをしてアーサーの命を奪うという可能性がないわけはないのだ。
 しかし、ケイのその意見にガウェインは首を横に振った。
「俺にはそうは思えん。彼らもまたルグスの誇り高き騎士。主の目を盗み、他国の者に頼み事をするのには覚悟がいった筈。彼らは誇りよりも主への想いをとったのだ。その決意に応えねばログレスの騎士の名が泣く」
 またか、とケイは舌打ちをしたくなった。この男は会議での再現をしたいのか。
 熱弁するのは結構だ。この真っ直ぐな心根こそガウェインの長所であることも分かっている。だが、時と場合を考えないのがこの男の悪い癖だと自分は思う。それに宰相である自分がどういう立場でいなければならないのかぐらいは理解して欲しいものだ。
「今は騎士道の話をしているんじゃないだろう。現実的にいって、ログレスも他を助ける余裕なんてない。確証がないことに付き合えるか」
 冷たく返すと思った通りガウェインが強い視線を向けてきた。それも想定していたから冷めた視線で見つめ返す。
 いつもの二人の間に、いつもの不穏な空気が流れる。
「……真だとしたら?」
 ガウェインが反論をしようとしたその時。横から先に口を開いた者がいた。
 驚いた二人が顔を向けると、腕を組んだベディヴィアが立っている。兄の方ならまだしも普段滅多ことでは口を開かない彼が二人の間に入ってくるのは珍しい。そんなことをしている場合ではないだろう、と流石の無表情男も思ったのか。
 それとも単なる気まぐれか。付き合いの長いケイにはそちらの方が当たっている気がした。
「そうだな。確証がないのは事実だが、彼らの話が本当だった場合の事も考えなければ。ログレスは助けを求めた者の手を無慈悲に払いのけました、なんて噂を流されたら、それこそ国の危機だ。噂というのは一番怖いからな」
 弟の言わんとしていることを付け足すようにルーカンが更に言う。これにはケイも盲点を突かれて出る言葉がなかった。
 確かにログレスで今気をつけなければならないのは、評判を落とすことだ。アーサーという英雄によって救われたログレスは、最も神聖なる国として全世界から注目を浴びている。ほんのわずかな埃も出すことを許されない状態なのだ。それはアーサーが即位してから外交を担当しているルーカンが一番よく分かっている。彼が言うなら、いくら秘密裏の話だとしても無下に断ればやがて確実に噂が流れることだろう。
 果たしてこの問題にどう対処すべきなのか。
「確かに彼らが真実を語っているという保証はない」
 誰もが頭を抱える中、ここで文書を自分達に示してから沈黙を守っていたアーサーが口を開いた。
「最悪の場合、平和を取り戻したこのログレスに再び戦火を起こすことにもなり兼ねないだろう。だが、偽りであろうとなかろうと、現実に救いを求めている者がいるのだ」
 アーサーが円卓に両手を突き、真摯な眼差しで円卓の騎士達を見渡した。
「私がこの話を貴殿らのみに話したのは、全てを極秘で行いたかったからだ。表向きは同盟について話し合うためルグスへ赴き、皇帝と会見をする。恐らくそこに魔女と呼ばれる男も姿を見せるだろう」
 突然の提案にケイはやや驚いて声を上げた。
「実際に彼らを見てから判断なさる、というのですか?」
「そうだ。自らの目に映してこそ、真実もまた見えてくる筈。そうではないか?」
 誰も何も言えなかった。この円卓の間に自分達を呼び寄せた時点で、アーサーの心はもう決まっていたのだということは、その強い眼差しから容易に知れたからである。
 会見をするとなればアーサー本人も行かねばならない。もし文書の内容が偽りであった場合、最も危うくなるのは王の身柄だ。それはアーサーも分かっているだろう。だから考えは決まっていても、ケイとガウェインが再び対立しそうになってもなかなか切り出せなかったのだ。
 アーサーの提案は最も筋道を踏んでいる。しかし、反面かなりのリスクを伴うのも確か。王の安全を考えれば逆らうことになっても止めるべきだとケイは思う。
 だが……だが、何を言ったところでアーサーの意志は変わるまい。そんな彼をケイは兄として接していた頃から皮肉なほど知りすぎていた。
 皆、アーサーの言葉を待っていた。決定的な言葉を。
 アーサーは円卓から手を放し、姿勢を正した。今一度円卓の騎士達を一人ずつゆっくりと見渡す。
 そして、高らかに宣言した。

「三日後、我々はルグスへと起つ」

 斯くして、ルグス遠征が決まったのだった。

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[ 2008/01/26 21:31 ] オリジナル小説中編 | TB(0) | CM(0)
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2006年5月16日開設

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