スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

Sir Kay~Brother Of King~第一章<6>




   第一章「騎士ケイ」<6>



 この世界には、人間の他にも異なる種族が存在している。
 ひとつは、人間より優れた身体能力を持つ『妖精』。
 妖精というのは全体的な呼称で、そこからいくつもの個別種族へと分岐していく。例えば神秘的な美しさと尖った耳が特徴の『エルフ族』。例えば背が低く、男女問わず髭を生やしている『ドワーフ族』。例えばドワーフ同様背が低く、すばしっこい『ノーム族』など、その種類は多種多様である。
 そして、もうひとつは先程までケイ達が戦っていた『魔物』。
 その姿形は動物に近いが非常に獰猛で、今回のように大量発生しては人間、大きくなれば人里を襲うことも珍しくない。
 その魔物の中で、最も巨大な肉体と強大な力を持つのが、『巨人族』という種類だ。
 しかし、エルフ族や巨人族は人里離れた場所で暮らしているのが普通で、人前に現れることはすこぶる稀である。
 ましてや、街にほど近い洞穴などでお目にかかることなど有り得ない。その筈なのだ。
 では、今のこの状況は何なのか。



 ケイは我が目を信じられなかった。座り込んだまま、目の前の巨人を凝視する。驚きのあまり、声も出ない。
 大岩を装っていた(かどうかは定かではないが)巨人は、ゆっくりとした動作で立ち上がった。
 頭上スレスレの天井を見上げると、大口を開けて呻くような声を吐く。同時にズズズと地鳴りが響いた。
 あまりの大音量にケイは耳を塞ぐが、それでも鼓膜が破れそうだ。鳴り止むまで、ただじっと耐える。
 数十秒に渡る騒音がようやく終わり、顔を上げると、すでにアーサーは腰から剣を抜いて戦闘態勢に入っているのが見えた。
 ケイは壁に手を付きながらも立ち上がるが、まだ驚きから回復していないのか、それ以上、頭が働かない。
 顔を下ろした巨人は、身体の割に小さい目をキョロキョロと動かしている。
 それを見てケイはあることに気付いた。巨人の目が見えていないのだ。
 目を動かしているのだから、元から見えないわけではないのだろう。ひょっとしたらまだ寝ぼけているのかもしれない。
 これはチャンスだ、と判断したケイは、小声で叫んでアーサーを呼ぶ。
「おい……。おい……!」
 何度目かでアーサーが気付き、こちらを振り返ったのが見えた。
「何やってんだ。逃げるんだよ」
「え?ですが……」
 アーサーにはケイの言っている意味がわからないらしい。
「馬鹿、相手は巨人だぞ。俺ら二人で何とか出来る相手じゃねぇよ。まだこっちに気付いてない今なら逃げられる」
 いくらアーサーの強さが人並外れているとはいえ、巨人を相手では難しいだろう。自分の力を入れても、恥ずべきことかもしれないが雀の涙ほどしか上がらない。
 しかし、アーサーは。
「ですが、敵に背中を見せるなど……」
 予想していた答えに、ケイは舌打ちをする。確かに、逃げるというのは騎士道に反する行為だ。自分とて騎士の端くれ。規範は極力守りたいと思っている。
 だが、それは時と場合にもよるのだとも思っていた。
 どんなに綺麗な言葉で言い繕っても、結局は命あっての物種なのだ。死んでしまっては意味がない。だから逃げられる戦いは逃げた方がいい。
 そんなケイの考えとは裏腹に、アーサーは全く逃げる姿勢を見せないでいる。あくまでも攻撃してくるなら戦う姿勢だ。
 彼にとって目の前の巨人は勝てぬ相手ではないということか。一体どこからそんな自信が湧いてくるのだろう。
 己の実力を自覚している故なのかもしれない。
 ケイは段々と苛立ってきた。
 逃げた方が良い。だが、アーサーは逃げようとは思わない。だからといって一人で逃げるわけにもいかない。
 そんな言葉が頭の中でグルグルと駆け巡る。すると次第に苛立ちは逃げないアーサーへの不満へと変わっていく。
 そして、つい小声で喋っていた意味を忘れてしまった。
「いいから早くしろ!」
 突然声が大きくなったことに、アーサーが驚いて目を見開く。
 その表情を見て、自分の失態に気付いたケイは咄嗟に口を手で押さえた。
 体中から大量の汗が噴き出すのを感じる。
 何故自分はこうも焦るとドジを踏んでしまうのか。己の性格がこれほどまでに恨めしいことはなかった。
 唸り声が耳に入り、恐る恐る顔を上げていく。そこには案の定、自分を見下ろす巨人がいた。
 巨人は身体ごとケイの方を向き、腕を振り上げる。
「兄上!」
 叫ぶような声と同時にアーサーが突進してきたことで二人の身体が飛び、地面に転がる。そのすぐ後、ズシンという大きな音と共に砂塵が巻き上がった。
 起き上がってみると、ケイのいた場所に、粉々になった岩が散らばっているのが目に入った。巨人によってそこに落とされたのだ。
「これがマーリンの予知していたことだったんだ……」
 アーサーのつぶやきを聞いて、ケイも思い出す。
 マーリンが告げた予言。
 『岩が降る。注意せよ』。
 確かに予言は当たっていた。当たっていたが。
「…って、これじゃ『降る』というより『投げつけられる』じゃねぇか!」
 大まかでも当たっていればいいというのか、と思わずツッコミを入れてしまうケイだったが、今はそんなことを追及している場合ではない。
 運良く、砂塵がこちらの姿を巨人から遮断してくれているような。その間にどうすべきか考えなければ。
 逃げるか、戦うか。選択肢は変わっていない。
 しかし、もう巨人はこちらの存在に気付いてしまっているのだ。同じでもその中身は明らかに違う。確率も今の方が絶対的に低い。
 どれを選ぶべきか、ケイは思い倦ねてしまう。
 すると、アーサーが真剣な表情を向けてきた。
「兄上はお逃げ下さい。ヤツは僕が引き付けます」
「は!?お前、何言って……」
 突然の提案にケイは驚くしかない。
「先程から覚悟は決めていました。兄上は戻って援護をご要請ください」
「ちょっ、ちょっと待て……!」
 言い終わる前にアーサーは立ち上がり、巨人へ立ち向かっていった。振り下ろされる腕を交しながら、間合いへと入っていく。
 ケイは近づくことも出来ず、立ち尽くしたまま、その姿を見つめた。
 そして考える。アーサーの言う通りかもしれない。逃げ切れない、勝てる可能性も低いのならば、どちらかが囮となり、どちらかが逃げて援軍を連れてくるのが一番だ。
 剣の腕はアーサーの方が上なのだ。ならば囮役は彼の方がいい。自分が援軍を連れてくるまでなら持ちこたえるだろう。
 そう、これが一番良い方法なのだ。
 半ば無理矢理に結論を出し、戦う弟に背を向けて走り出す。何故か胸を刺す、チクリとした痛みは、敢えて無視した。
 しかし、カランと金属物が転がる音と巨人の唸る声が背後から響いた時、思わず反応して振り返る。振り返ってしまった。
 瞬間、壁に叩きつけられて倒れたのであろう弟と、その目前に悠然と立ちはだかる巨人の姿が視界に飛び込んでくる。
 巨人の腕が動いたのを認識すると同時に、自然と身体が動いていた。
 アーサーに駆け寄り、その身体を突き飛ばす。
 そして巨人の手は入れ替わった自分を捕らえる。襟首を掴まれ、そのまま持ち上げられてしまう。
 アーサーは丁度自分が突き飛ばされた場所に落ちていた剣を拾うと、顔を巨人と兄の方へ向けた。
「兄上!」
「こ…の、離せ!」
 ケイは腰の剣を抜き、襟首を掴む指や掌、手首などに手当たり次第斬りつける。だが巨人の固い皮膚には、全く刃が突き刺さらない。
 振っては何度も弾かれる。途中、他とは異なる音が聞こえたような気がしたが、特に変化は訪れなかった。
 巨人は暴れるケイをしばらく見つめると、おもむろに口を開き始める。底の見えない口内に、思わず動きが止まった。
 喰われる。本能的に、そう悟ったケイは目をつぶってしまう。
 これで終わりか、と思ったその時、下方から自分を呼ぶ声が聞こえて、再び目を開いた。
「兄上!ライトを!ライトの魔法を!」
 耳に入ってきたのは、アーサーのそんな言葉だった。
 しかしケイには、その言葉の意図するところが全く読めない。
 ライトの魔法で目つぶしにでもしろというのか。だとしたらそれは無理だ。ライトは光球を作り出す魔法だが、周囲を照らすぐらいで太陽光のような眩しさは持ち合わせていない。目の前で繰り出されても目をつぶすどころか驚きさえしないだろう。そんなことはアーサーもわかっているはずなのに。
 だが、このままでいたら喰らわれてしまうのに変わりがないならば、いちかばちかやってみるしかない。
 剣を持たない手の方を掲げ、呪文を詠唱し始める。普段より早口にしているため、何度か噛みそうになるが、何とか唱え終えて光球を作り出す。
 辺りが淡い光に包まれたことで、巨人の意識が光球へと移り、ケイを掴む手を口へ運ぶことを止めた。
 頭上に浮かぶそれに視線を上げた次の瞬間。
「うおおおおおおっ!」
 勇ましい声が洞穴中に響き、光球より眩しい光が上がった。ケイにはそのように見えた。
 アーサーが雄叫びと共に舞い上がり、振りかざした剣で巨人の右目を貫いたのだ。
 痛みと衝撃に巨人は絶叫し、ケイはその手から離された。地面へ落下した自分に、アーサーが駆け寄ってくる。
「兄上、早くここを離れましょう」
「へ?何で……」
 言っている意味がわからないケイを、アーサーは無理矢理立ち上がらせると、そのまま巨人がいる場所から離れていき、少し距離が開いたところで立ち止まった。
 振り返ると、巨人が右目を押さえて、あらん限りの声で絶叫し続けているのが見える。
「あれを見て下さい」
 そう言ってアーサーが指さした巨人の頭上に視線を移す。何の変哲もない岩の天井にしか見えない。ケイは天井とアーサーを交互に見やる。アーサーは黙ったまま、ただ真剣な表情で天井を指差したままだ。やはり意味がわからず、眉間に皺を寄せる
 だが、答えはすぐに出た。
 頭上の天井に亀裂が走り始めたのが見えたからだ。
 恐らく元々あった小さな亀裂が、巨人の発する絶叫によって広がっていってるのだろう。巨人はそのことに気付かず、痛みに声を上げ続ける。
 そしてついに轟音と共に天井が崩れ落ちた。
 大量の大岩の破片となった天井は巨人の上に落ち、その身体を飲み込んでいく。同時にものすごい砂埃で目を開けていられない。
 巨人の阿鼻叫喚と共に轟音が鳴り止むと、砂埃もようやくおさまる。再び目を開いた時には、すでに巨人の姿は、完全に崩れ落ちた天井の下敷きとなっていた。
 ケイはその光景を、呆然とした面持ちで見つめた。



 洞穴から出て最初に目に入ったのは、ずいぶん陽が高くなった青空だった。もう昼過ぎだろうか。明るい日差しに身を委ねると、ドッと疲れが溢れ出してくる。ケイはまだ抜いたままの剣から手を離し、そのまま地面へと俯せに倒れ伏した。
「大丈夫ですか、兄上」
 頭上から、アーサーの心配そうな声が聞こえる。それには返答せず、顔だけ向けて、今度はこちらから質問した。
「お前…、あれを狙ってたのか?」
 自分に天井を見るよう促したということは、アーサーは最初から天井を崩すことによって巨人を打ち倒そうと考えていたということだ。ライトの魔法を放させたのも、巨人の注意を引くためだったのだろう。だからあんなに自信を持って囮になると言えた。自分が危険を伴わせてまでかばう必要などなかったのだ。
 むしろ邪魔になったのかもしれないと、考えがどんどんネガティブになっていくのを感じる。
 しかし、返ってきた答えは意外なものだった。
「狙っていたなんて…そこまで計算していたわけじゃありません。兄上が捕らえられた時に偶然天井が目に入って、もしかしたら上手くいくかもしれないと思ったぐらいです」
「俺が捕まった時って……」
 思わず疲れも忘れて起き上がる。では囮になると言った時点では、まだあの作戦は頭になかったということか。
 それならば。
「じゃあ、お前、その前はどうやって戦うつもりだったんだよ」
 ケイの問いに、アーサーは即座に返してきた。
「もちろん、己の力のみで」
 何のためらいもなく出された言葉に、ケイは呆気にとられてしまう。
 驚いたのではない。思い出したのだ。
 どんな相手にも怯まず、何の策略も用いず、真正面から立ち向かう。そう、この弟はそういう性格だった。
 覚悟をしているというのも、真から出た言葉だったのだ。
 如何に生き延びるかをまず考えてしまう自分とは、全く正反対である。アーサーを見ると、騎士とはこういうものなのかもしれないと思わずにはいられない。
 そんな弟があのような作戦を用いたのは、自分が捕まったためだろう。やはりあの時戻るべきではなかったと、また思考がネガティブへと戻っていく。
「ですが……」
 悶々としていると、アーサーの嬉しそうな声が耳に入ってきたので顔を上げてみる。
 アーサーは微笑んでいた。
「ですが、あの時兄上が助けて下さらなかったら、私はあのまま死んでいたでしょう。兄上が来てくれて…本当に良かった」
 そう言って、更に笑みを深める姿に、何だかこちらが気恥ずかしくなる。
 自分が捜しにきたこと。危険な時にかばったことを心から感謝しているのだ。本当に、真っ直ぐで純粋な奴である。
 その後ろで太陽が燦々と輝いているのが、まるで彼が発しているみたいに見えた。光に反射して、金髪がキラキラと同じように輝いていたから。
 先程までの暗い洞穴より、こういう陽の下の方がよく似合うと改めて思った。
 今の青空より青い瞳で兄を見つめているのに気付く。何だか照れてきて直視していられない。
「と、とにかくこれで用は済んだだろ。早く戻って準備をするぞ」
 ケイは背後の剣を探り寄せると、弟から顔を背けて立ち上がった。
 出場する大馬上槍試合の開会式は夜からだが、その前にすべきことは山ほどある。色々あって遅れた分、急いで戻らなければ。
 はい、と返事をすると、アーサーも同様に立ち上がる。
 しかし。
「……あ!」
 何故か突然、大きな声を上げてきた。
「何だよ、どうした?」
 剣を腰に仕舞おうと思っていたケイは、その声に手を止める。見るとアーサーは焦っているような表情をしていた。
「いや…あの……」
 何かを言おうとするが、ひどく口にしづらそうにしている。その態度に苛ついたケイは声を上げた。
「何なんだよ、はっきり言え」
「あの…兄上、兄上の剣が……」
 アーサーはようやくそれだけ口にした。
 一体剣がどうしたというのだ。訝しみながら、剣を持つ手に視線を移した。
 次の瞬間、ケイの身体が固まる。
 剣の切っ先部分が、ものの見事に折れているではないか。
 あまりのことに、驚きの声も出てこない。
 何が原因で、剣がこんな姿に……。
 混乱しながらも何とか記憶をたぐり寄せて、あるひとつの事を思い出す。
 巨人に捕まった際、自分はこの剣で攻撃した。その時、一度だけ他とは別の音が聞こえた。今思えば、金属の折れるような音に似ていた気がする。
 恐らく、あの時に折れてしまったのだ。
 剣が折れるほど固い皮膚だったのか。それとも闇雲に振り回したため、変な方向に曲げてしまったのか。理由はわからない。
 確かなことは、剣が折れてしまった。それだけである。
「兄上……」
 アーサーの自分を呼ぶ声が遠くに聞こえる。それほど途方に暮れていた。
 剣がなければ、大馬上槍試合には出席出来ない。そうなれば家名に傷を付けることになってしまう。
 代わりの剣を用意すれば、出場は可能だ。しかし、ケイのこの剣はかなり上質で、これに匹敵する他のものをすぐに見つけ出すのは、正直難しい。
 大体、問題はそこではないのだ。
 この剣は、ケイが騎士に叙任した時、父・エクターから譲り受けた品であった。それまでまともに父から誉められたことのなかった自分にとって、人生で最高の贈り物だ。とても大事にしていたし、手入れもしっかり行っていた。
 大馬上槍試合という新年の大舞台で、活躍こそ出来なくてもこの剣を持って出場することは、父への自分なりの孝行のつもりだったのだ。
 その夢があっけなく崩れてしまった。
 ガラガラと壊れていく音と共に足から力が抜け、再びその場にしゃがみ込んでしまう。
「兄上…あの……」
 頭上から声をかけられ、何とか顔だけ上げる。
 同じようにしゃがんで、哀しそうに自分を見つめるアーサーの姿が目に入った。
「あ…兄上、すみません。僕が至らないばかりに」
 何に謝っているのか、何が至らないのか、ケイにはわからない。言っている本人もわかっていないのだろう。
 だが、自分以上に沈んだ顔をしている弟を見つめていると、心の中に沸々と妙な怒りが芽生えていくのを感じていた。
 そもそもこんな事になってしまった原因は何だ。この弟を捜しに来たせいではないか。しかも捜しに来て得たものは、折れた剣だけ。なのに当の本人は意味も分からず詫びてきているときた。それが無性に腹が立って仕方がない。
 カーッと頭に血が上り、理性の切れる音がした。
「…そうだよ」
「兄上……?」
 顔を伏せて、地の底から吐きだしたような声を出すと、アーサーは聞き取れなかったのか、こちらを覗き込もうとしたが、先にケイが勢いよく顔を上げて、睨みつけてくる。
 その表情は怒りに満ちあふれていた。
「そうだよ!全部お前のせいじゃねぇか!」
 怒りの表情と共に突然怒鳴りつけられ、驚くアーサーに、ケイは更に詰め寄る。
「お前が馬鹿みたいにじじいの言葉なんか気にするから、俺がこんなとこに来る羽目になったんだよ!おかげでとんだとばっちりだ!」
「え…あ…でも…その……」
 あまりの剣幕に、アーサーはしどろもどろになってしまう。兄に怒鳴られるのは日常茶飯事(そのほとんどがケイの一方的な理由)だったが、これほど怒りを露わにするのは稀だからだ。
 怒る本人からしてみれば、普段のは半分照れ隠し的部分があるもので、今のが真に怒っているのであるが、そんなことアーサーにはわかるわけがない。どうすれば良いのかさえわからず、動揺するばかりだ。
 そんな弟に、ケイはより一層追い打ちをかける。
「探せ」
「…は?」
 意味が理解できなかったのか、聞き返してくるアーサーを尻目に立ち上がり、彼を見下す態勢をとった。そして、冷たい目で言葉を付け加えて、もう一度言う。
「代わりの剣を探してこい。これより上等なやつをな」
「ええ!?」
 その言葉は予想外だったのか、アーサーへの衝撃はかなり大きかったようだ。驚きよりも驚愕といった表情になっている。
「で、でも、どうすれば……」
「そんなの自分で考えろ。いいか……」
 焦る弟を、ケイはあっさり冷たく切り捨てた。
 一度言葉を止めて息を吸い込むと、ビシッと指を突き出して一気に吐き出す。
「見つけ出すまで絶対に戻ってくんな!」
 ケイの怒声が平原に木霊した。理不尽な怒りであるのは、誰が見たとしても一目瞭然であったが。
 そして当の本人も一人で街へ戻った後、それを自覚することとなる。

 <7>へ

 web拍手
 ↑よろしければ、押していただけると幸いです。

スポンサーサイト
[ 2006/07/15 23:31 ] オリジナル小説連載 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

春菜

Author:春菜
ニコジョッキーブログはこちら

2006年5月16日開設

ぬるいゲーマーです。

管理室

FC2カウンター
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。