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ミニSSとちょっとした変更

ようやくミニSSが完成したので今日から掲載します。
ただ、お題に沿ったSSと予告で書いたのですが、色々考えた末お題を借りるのは取りやめにしました。いいなと思っていたお題で上手くお話が思い付かなくて……。結局自分で考えたタイトルで作成しました。

当サイトのオリジナル小説『Sir Kay~Brother Of King~』のミニSSです。全5話。
それでは、第1話をどうぞ。



いつもの風景



 世界には多種多様の魔法薬が存在する。
 公認されているものから、表では手に入らない非公式のものまで。その中身も傷を癒したり、服用した者を動物に変えるなど様々だ。
 その中に『自白薬』というものがある。その名の通り、あらゆる秘密を白状するようになる魔法薬だ。主に犯罪者に使用されているが、貴族などは恋人や夫、あるいは妻の浮気疑惑を露呈させるため、秘密裏に入手していることも多い。
 ルーカンはその薬が今手元にあればいいのに、と少し思っていた。あれば是非使って、ある者の心の内を白状させてみたいものである。
 とはいっても、使いたい相手は恋人などの類ではない。
 自分の視線の先で背を向け、多分ふれくされたような表情をしているであろう、ひとつ下の幼なじみの少年……ケイに、である。
 ふてくされている、というのは自分の推測だ。自分が弟と共にケイの邸へと着いたのはつい先程。その姿を見つけた時には既に今の状態になっていたから、実際どういう表情をしているのかは分からない。けれど、恐らく合っているだろう。
 こういう状態の時、ケイは大抵ふてくされているのである。
 何故彼がふてくされているのか。その理由は知らない。だが、ある程度予測はついていた。理由はいつも同じだったから。
 大方、またケンカをしたのだろう。2つ下の弟……アーサーと。
 ただケンカといっても、この兄弟の場合は少し違う。
 兄が弟に理不尽な悪態をつき、弟はそれを悲しげな表情をしながら受け止める、というのが、この兄弟の『ケンカ』なのだ。
 改めて視線の先の背中を見やる。全てを拒絶しているようで、実は唯ひとつは受け入れようとしている背中。しかし、実際にそれが来たとしてもきっとまた悪態をついてしまうことだろう。
 ああそうか、と先程の考えに誤りがあったことに気付く。
 彼の心の内を暴くには自白薬では無理だ。自白薬は嘘で覆い隠された真実を暴くためのもの。それは彼に対しては何の効果も発揮しない。
 何故なら、彼が弟に対してつく悪態もまた彼の真実なのだから。
 彼の心の内を暴くことの出来る薬。
 それは、特に呼称を決めないのであれば『素直になる薬』といったところか。
 けれど、そんな薬は世界中を探しても存在しないだろうし、今後作られることもないだろうと思う。彼が弟に素直な愛情表現を示す姿など想像も出来ない。
 それでもあったならさぞ面白いだろうと思うのもまた本音だ。想像も出来ないからこそ、彼が弟に素直な愛情表現を示す姿を、是非人生の中で一度は見てみたいものである。



 第一そんな薬があれば、あのように複雑な想いに駆られながら佇む必要もなくなるのだから。



 いつもの風景のいつもの姿を見つめながら、溜息だけが静かにこぼれた。

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[ 2007/07/14 23:27 ] オリジナル小説短編 | TB(0) | CM(0)
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2006年5月16日開設

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