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Sir Kay~Brother Of King~第一章<1>




   第一章「騎士ケイ」<1>



 光が求めるは闇。
 闇が焦がれ続けるは光。



 ドル・ドナ暦435年

 勝利を確信し、先程までの緊張が一気に解かれる。
 ケイは横たわったまま空を見上げていた。
 そこには清々しい青は存在せず、残酷なほど紅い色に染まっている。
 視線を下ろすと、震える唇から苦笑が漏れた。
 今、自分が横たわっている場所とさして変わらない色だと気付いたからだ。
 自分の体内から流れ出ている、血の色と。
 浅黒い肌も黒髪も、その色を吸って紅に変わっている。
 あれからどれほどの量が出たのかなど、もうわからない。わかろうとも思わない。
 今頃、あちらの戦いも決着がついているだろう。彼らに全てを任せてきたから、その後始末の心配はない。彼女の協力も得ている。
 二十年、自分達が培ってきた『ログレス』の歴史が終わりを迎える時が来た。
 それなのに。確実に身体から体温も失われつつあるというのに、とても清々しい気分だ。
 全ては終わった。己の為すべき事はやり遂げたのだから。
 だからこのまま命を落としてしまっても構わないのだ。
 朦朧とした意識の中、ケイの脳裏にこれまでの人生が蘇ってきた。人間が死の直前に起きる現象か。
 もう随分と昔だが、同じような事があった。尤もあの時は思い返す程の価値があるものではないと思い、途中で止めてしまったが。あれから自分なりに実のある道を歩んできたということか。
 長年共にいた友人。心から愛した女性。どうしても相容れることの出来なかった者達。
 彼らと過ごした日々はとても楽しく、哀しいものだった気がする。
 そして、どの記憶の中にも確実に存在する者がいた。
 誰よりも長く自分の傍にいた、彼。
 喜んでいる顔も苦しんでいる顔も悲しんでいる顔も、誰よりも知っている彼。
 けれど、自分が一番理解していなかった…彼。
「…アーサー」
 ケイはか細くなった声で、その名を呼ぶ。
 世界を救いし、英雄の名を。
 自分のこの世で最も憎く、最も愛しい弟の名を。
(兄上……)
 薄れる意識の中、自分を呼ぶ弟の声が聞こえた気がした。

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[ 2006/06/10 23:37 ] オリジナル小説連載 | TB(0) | CM(0)
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2006年5月16日開設

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